私たちの正倉院

岩座(いわくら)誕生秘話 (witten by 進藤さわと)

1999年にボスの著作「世界の不思議なお守り」が出版された。世界のお守り民芸を調査した本で、私も学生の頃その調査旅行のうちトルコやマリ、コートジボワール、エジプトに同行していた。その執筆過程で1997年に世界のお守りとパワーストーンを扱うチャイハネデデという店舗が横浜中華街の関帝廟前にオープンした。
2012年、デデの今後の将来性について話し合う場があったのだが、このままでは未来はないという結論にいたった。世界のお守りパワーストーンも、あまりに出回って価格の下落も進み、商売としては厳しくなることははっきりしていた。そこで新たなコンセプトと切り口を見出さねばならなくなった。
まず最初に浮上したブランド案が「カラオ」というものだった。カラオとはアフリカ・マリの多産の鳥の神様で、巨大な木彫りの像がある。カラオの多産にかけて、いろいろな運が卵から産まれるというイメージで、店舗デザインや商品展開を考えていたのだが、どうも関係者含めて、真に来るものがなく半信半疑のままであった。あまり変わり映えがしないし、魂に来るものがないのだ。
そこで私は再度、ひとり考え込んだ。会社の文化や歴史にしっかり根付いた業態を考える必要があると感じた。ふと、ボスが2011年に出版した「詩でつづる神社100選」を思った。背中に電気が走った。神社といえば、岩座。岩がストーンを連想させるし、強烈な原初のフォークロアも感じとることができる。これだ、と思いその場で一枚のイメージ図を作り上げた。その一枚からどんどんイメージを膨らませて提案書となり、そこから岩座プロジェクトは始まった。
出雲大社、日御碕神社、厳島神社、岩木山神社、早池峰神社、伊勢神宮とメンバーと足を運び、インスピレーションを深めつつ、商品展開と店舗デザインを構築していった。プロジェクトが始動すると、本拠地の横浜中華街で空き物件が出た。デデ店長の報告を受け見に行くと、チャイハネ本店のすぐそばの物件である。それは4mx30m弱というとんでもなく細長い物件だったのだが、かえって神社の参道のようで面白い。手を打って喜んで、すぐに契約することとなった。何かのめぐり合わせである。ついでに言えばオープンする2013年は、出雲大社が60年に1度の平成の大遷宮と、伊勢神宮の20年に1度の遷宮が奇しくも重なるという年でもあった。大きなめぐりあわせを感じずにはいられない船出となった。

カヤ誕生秘話 おばけの金太