受け継がれていく気質

お金を稼ぐというのは、なんて単純な世界だろう

創業者・進藤幸彦(ボス)の著書「フォークロア世界への旅」で、トルコのある町でバスの利用者を案内して運転手からチップを受け取った少年が、「うれしさのあまり小躍りしながら両手を伸ばし親指を鳴らして踊った」、という記述がある。それを見ていたボスは「見ていて胸が熱くなるものがあった。お金を稼ぐということは、なんて単純な世界だろう。彼はなんて正直に又誇らしげに振舞うんだろう。」と感想している。フォークロアに内在する乏しさへの不屈で明るい精神を象徴するような話である。
アミナコレクションはそのトルコの少年のように商売を前向きで誇らしいものとしてとらえている。そして商売を深めることによって、フォークロアと関わりを持っていきたいと考えている。企業理念であるフォークロアは美しいが、商売は汚いもの、という感覚はない。理念と商売、どちらも欠けてもならないという気質がある。

ビニール傘、何が悪いんだ?

どうしても伝統的な手工芸だけでは、満たせない商売のニーズがある。路面店で商売をやっていると、雨が降るとお客様が傘を欲しがる。しかし民芸的な傘というのは、あっても機能性の上で問題があり、実用に耐えない。そこで2000年、オリジナルデザインのビニール傘を開発した。象が主役でインドの伝統を強く感じるデザインにまとまった。この傘は大ヒット商品になった。
この初の機械製品の商品開発においては、社内の反対や疑問視があったのも事実だ。しかし、いったい何が悪いんだ?お客様のニーズがあるじゃないか。ハンドメイドでなくて民芸といえるのかって?これは民芸をまとった機械製品で、いわば「現代の民芸」だ。

標高4000メートル、ボリビアの石畳の道を巨大スーツケース2つ持って行く

出張の旅費のもとを取れ!ボスの号令のもと、昔の出張では胸の高さぐらいあるスーツケースを持って出張に行ったものだ。そこに商品を詰め込んで、帰国後すぐにお店に並べて売上をたてて、出張経費のもとをとろうというわけだ。出張経費といえば、南米の出張などは交通費がアジアの数倍かかるのもあり、元を取るために1人あたり2つスーツケースを持つという暗黙のルールがあった。一回の出張でエクアドル、リマ、クスコ、ボリビアと4つの拠点を回る出張を2つもスーツケースを持って旅をするのは一苦労。しかも各地で奥地のバザールまで出かけたり、ボリビアなんかは標高4000メートルの街の石畳をガタガタと引きずって歩き、大変な思いをしたものである。4人でスーツケースを8個も持ち歩くって、現地でも珍しい光景で注目されたものだ。
今は仕入れの流れも変わり商品というよりサンプルを持ち帰ったりすることが多く、昔とは変わったが、こういう無邪気で泥臭い商売魂はアミナコレクションの気質としてベースにあるのだ。

昔はエロトランプも売ってた

私が大学生の1995年ごろチャイハネでアルバイトをしていたとき、お店にはいろいろな商品があった。もちろんしっかりとしたフォークロアの世界観で商品や店舗を作りこんではいるのだけれど、クソ真面目でもない。中国製の、ナイフが飛び出す鉄砲の形をしたキーホルダー。修学旅行生に良く売れた。それから香港から輸入したエロトランプ。そういえば小学生のころには、中国製のボクシングゲームみたいなのも店頭に出ていた記憶がある。テニスラケットを持った女の子のセラミック置物も見たことがある。
8割9割はきっちり固めるけど、お客様に響く遊びの部分が常にあって、そこに融通無碍な想像力とか商売の勢いが育まれる。そうやって売れる商品を生み出す商売感覚が磨かれてきたとも思う。真面目にこだわって真剣に取り組むことも大事だけど、ガチガチになりすぎて小さくまとまっちゃうのは違う。アミナコレクションには、創意工夫が触発されるような、無邪気にお客様に向かっていく遊びの部分が許されていて、商売の可能性が広がっていくような雰囲気がある。