受け継がれていく気質

フォークロアの中に入っていけると、もっともっと面白い

民芸と商売の接点をひたむきに追求していくとき、ふともともとあった民芸をみてハッと息を飲むことがある。もともとの伝統的なモチーフや壁画や民芸品といった本物の内側にあふれる力を感じるとき、「かなわないな」と納得してしまう。かなわないけれど、私たちは本物の魅力と出会いながら物を作っていきたい。
さらに民芸を生み出す民俗、フォークロアの中に少しでも入っていけると、もっともっと面白い。そこには私たちの現代の生活を問い直す何かがある。世界のフォークロアを見ているつもりが、私自身を、日本人を見直していることが意外に多い。
私達は本物との触れ合いを求めて、実際に現地に足を運ぶ。いつも社内の誰かがインドやタイや、はたまた日本のフォークロア世界に出張している。そして本社には世界中で集めてきた民芸の書籍・写真集のある図書館もあって、常に本物の一端に触れることが出来る。

執念でコンクリート製の建物に民芸のこころを注入

初代チャイハネは、もともと船問屋だった木造でボロボロの建物から出発した。手作りの木造と歴史的なボロ感で絶妙な民芸感があったのだが、耐久性の問題から建物を壊して、建築しなおさねばならなかった。新しいチャイハネは、コンクリートの素材と消防法でがんじがらめの規制の中で設計しなければならなかった。普通にやれば無機質にしか出来上がらない。しかし、あくまで表現したかった店舗イメージは民芸感いっぱいのフォークロアの砦。アジア各地から彫刻やら瓦などを調達したり、あえて足場材でゆがんだ店頭を作ったり、店内に舞台のようなステージを作ったり、ネパールの門前町のような狭っくるしさを表現したり、壁に手書きで絵を描いたり。思考と感性を総動員して、初代チャイハネに負けない民芸のこころが一杯詰まったチャイハネを産みだした。
こんな具合に、アミナコレクションの活動はフォークロアに始まり、フォークロアに着地する。そこに私達の存在価値が輝く。そういう信念でやってる。

民芸を武器にしたい

民芸を追及するのは、趣味愛好の世界に浸ることなのか。民芸にある人懐かしい、手ざわりの残る世界の癒しに浸ることなのか。現代という時代の、人をギザギザにしてしまう肌ざわりを恐れて、民芸の世界に逃げ込むことか。いや、そうだけではない。逃げ込むのではなくて民芸を武器にしたいのだ。
今、世界中でも日本でも消え去ろうとしているフォークロアを私たちの目でとらえなおし、失いかけた伝承とモチーフの力と活気を取り戻す。そのようにして民芸を武器として立ち上がり、ギザギザの近代の世直しをし、自らも蘇らせるのだ。

商売を通じて民芸とつながっていきたい

民俗芸能も民芸も、多くの研究家がいるし学者もいる。そうした人達の多くに1つの共通のイメージがある。何故か決して民俗の匂いがせず、どちらかというと貴族的に上品な、手を汚したことのないイメージだ。しかしながら商取引では私達と現地、互いの生活がかかったものだから互いにギアが入った状態でつきあう。どちらも傍観者ではないし、アウトサイダーでもいられない。もしくはフォークロアにある伝統的なモチーフをデザインソースとして用いる中で、精神的にフォークロアの内面とつながっていける。商売を通して、民芸の現地とつながり、もしくは、フォークロアの精神に触れつづけていきたい。